フルー ト教育の低年齢化 |
---|
「三つ子の魂百まで」と昔から言われますが、幼児からフルートを指導してみたいというのは私たちの夢でした。 関西笛の会は日本におけるこの分野で先駆的な役割を果たしてきました。 ヴァイオリンなどと違って楽器を小さくすると音程が変わってしまうので、今までフルートは小学3〜4年からしか始められませんでしたが、幼児用の新しいフルートの開発と、20年間にわたる私たちの研究と経験により,今では4才から始められるようになったのです。 |
|
人間の能力を決定付ける脳内のシナプス結合(脳細胞どうしの結合)は、その90%までもが10歳までに完了すると言われております。 フルート教育も決して例外ではなく、始めるのが小さければ小さいほど、その能力は驚くほどしっかりと身につくものです。 関西笛の会では、フルートを通じた楽しい遊びの中で子供たちの様々な音楽能力が育っています。 |
|
ジュニア フェスティバルin四季の森(フルートアンサンブル“トゥモロー”) 2002年2月24日兵庫県篠山市“四季の森会館”ホール |
|
アンサンブル“山” 2004年5月16日滋賀県大津市民会館小ホール 第7回ジュニアフルートフェスティバル |
Kansai Fuenokai's World Vol.2 | ||
〔日本唯一のフルート専門誌“ザ・フルート”アルソ出版Vol.60より〕 ザ・フルートの読者の皆さんこんにちは。"芸術の秋" まさにたけなわとなりました。どこまでも高く澄んだ空にフルートの音色はキリリと冴え渡り、日本のいたる所に美しい音の錦絵を描いていることでしょう。 さて、「関西笛の会の世界」第2回目はフルート界の将来を担う子供達の事をお話しましょう。 子供たちにフルートを教える 指導方法を考える 人の大脳は左半球と右半球に分かれています。 左脳は言語・論理思考にすぐれ、右脳は音楽・空間認識にすぐれているという事が研究によって明らかになりました。 左脳を教育する場合は楽譜から入り、知識の総体として理論的に指導する必要がありますが、音楽にとって特に重要な右脳の教育は楽譜ではないところから入り、体験と模倣による指導が大切であると考えられます。 英語教育を例にとれば文法は左脳、会話は右脳と言う事になるでしょうか。 会話を自分のものにしていくためには、英語を母国語としている先生の発音を隅々までよく聞き取り、そのイントネーションや表情までをも細かく読み取り、それを正しく柔軟に模倣していく必要があります。 音楽する喜びの原点でもある、美しい音色・楽しく調子の良いリズム・豊かな情感表現を自分のものにしていくのにも同様の事が言えるのではないでしょうか? 対象をアナログ的にそのままモニタリングし、それを再生するという作業を繰り返す事によって、我々の右脳は自在に会話や音楽をあやつる事ができるようになるのです。 これからの方向性 0歳以前から発達する、聞く見るなどの入力系シナプス。それから少し遅れて発達する、話す動かすなどの出力系シナプス。そして4〜5歳から発達していく、あらゆる情報を統合して考え・感じ・認識していく機能を有する前頭葉のシナプス。 このような脳の発達の過程を考えてみると、私達は子供が10歳くらいまでのうちに様々な人間にとって必要な生きた柔軟な情報(音楽情報も含めて)をしっかりと脳に取り込み、また、同時にそれらを使いこなしていくために大いに実践的努力を促して行くべきなのではないかと考えるようになりました。 現在関西笛の会では年に2度の合宿やジュニアフルートフェスティバル、中学生までの子供たちで構成されているフルートアンサンブル"トゥモロー"の活動などを通じてフルート教育の低年齢化に力を注いでおります。 |
||
対馬 潤 | ||
参考文献:久保田 競 「脳の発達と子供のからだ」 築地書館 井深 大 「幼稚園では遅すぎる」 ごま書房 |